アーチーズ国立公園(Arches National Park)の魅力と見どころ──天然アーチ・奇岩・ハイキングを楽しむ

アーチーズ国立公園とは
アーチーズ国立公園(Arches National Park)は、アメリカ・ユタ州東部、モアブ近郊に位置する国立公園である。
園内には2,000以上の天然アーチが確認されており、そのほかにも岩塔やフィン(岩の壁状地形)など、多様な砂岩地形が広がっている。
現在見られる特徴的な景観は、長い年月をかけて堆積した砂岩が、風や雨、気温変化などによる浸食を受けて形成されたものだ。
公園内には複数の展望エリアやハイキングコースが整備されており、車で移動しながらさまざまな奇岩や風景を楽しむことができる。
この記事では、行き方や観光情報はいったん後回しにして、まずは実際に園内を巡りながら目にした風景を写真中心で紹介していきたい。

まるで異世界のような、圧巻の岩の風景が続く
アーチーズ国立公園の魅力を一言で表すなら、「次々と現れる圧巻の岩の風景」だろう。
公園内を巡っていると、天然の橋のようなアーチ、巨大な岩壁に開いた窓のような穴、不安定なバランスで立つ巨岩、神殿のようにそびえ立つ岩山など、驚くほど多彩な地形が次々と現れる。
同じ赤い砂岩の世界でありながら、それぞれの場所で風景の表情が大きく異なるのも面白い。まるで自然が長い年月をかけて作り上げた巨大な野外博物館を巡っているような感覚がある。

しかし、この公園の魅力は奇岩の珍しさだけではない。一つ一つの岩が驚くほど巨大で、実際にその足元に立つと、人間の大きさとの違いに圧倒される。
巨大な門や神殿を思わせる岩山の前では、自分が広大な自然の中の小さな存在であることを改めて実感する。
見渡す限り続く赤茶けた大地と青空も相まって、アメリカ西部ならではの圧倒的なスケール感を味わうことができる。

そしてさらに印象的なのは、この場所に漂う独特の雰囲気だ。現実離れした岩の造形と広大な荒野の組み合わせは、ときに地球上とは思えないほど異様で美しい。
名前の付いた有名スポットはもちろんだが、その途中の道や何気ない景色ですら、未知の惑星を探索しているかのような気分にさせてくれる。

ここからは、そんなアーチーズ国立公園の魅力を、エリアごとに写真を交えながら紹介していきたい。
写真で巡るアーチーズ国立公園
ここでは、アーチーズ国立公園の主な見どころを、実際に園内を巡る順番に沿って紹介していく。
公園内は入口から一本の道路が奥へ伸びており、その途中にさまざまな展望エリアやハイキングスポットが点在している。
実際に公園内を巡っていくような気分で、赤い岩と荒野の風景をゆっくり眺めながら楽しんでいただければ幸いだ。
Park Avenue ― 巨大な岩壁に迎えられる入口エリア
Park Avenue(パークアベニュー)は、公園入口から比較的近い場所にある展望エリア。両側にそびえる巨大な岩壁が特徴で、アーチーズ国立公園に入って最初に立ち寄る人も多い。
ここでまず驚かされるのは、その圧倒的なスケール感だ。岩山というより、高層ビル群の間に立っているような感覚すらある。これから始まるアーチーズの旅を象徴するような、印象的な入口である。

アメリカ西部特有の乾いた景色に浸る時間。下へ続く道の先へ、思わず歩いて行きたくなる。(撮影:筆者)
Balanced Rock ― 不思議な均衡で立つ巨岩
Balanced Rock(バランスロック)は、細い岩の上に巨大な岩塊が載っているように見える、アーチーズ国立公園を代表する奇岩の一つである。駐車場から短い距離で見ることができるため、人気の高いスポットとなっている。
写真で見ると少しユーモラスにも見えるが、実際に目の前に立つと、その大きさに圧倒される。自然が生み出したとは思えない不思議なバランスは、何度見ても目を引く存在だ。

Balanced Rockへ向かう。トレイルは歩きやすく整備されている。(撮影:筆者)

岩だけでなく、周囲に広がる荒野の風景にも惹かれる。放浪したくなるアメリカ西部の空気が漂う。(撮影:筆者)

正面から見たBalanced Rock。写り込んだ人の姿が、その巨大さを物語っている。(撮影:筆者)
The Windows Section ― 天然の窓が並ぶアーチーズ屈指の名所
The Windows Section(ウインドーズセクション)は、大きなアーチが集中しているエリアであり、公園内でも特に人気の高い観光スポットである。巨大な岩壁に開いた天然の窓のような景観を間近に見ることができる。
ここではアーチーズという名前の由来になった風景を存分に味わえる。巨大な岩の穴越しに空や荒野を眺めていると、この公園ならではの不思議な開放感が感じられる。

The Windows Sectionの遠景。地球上とは思えないような風景が続く。(撮影:筆者)

Double Arch。二重に重なった巨大なアーチ。その造形美と迫力に言葉を失う。(撮影:筆者)

Double Archを見上げる。その存在感に圧倒されながら、岩場を登っていく。(撮影:筆者)

Double Arch側から眺めた風景。巨大な岩の隠れ家にいるような居心地の良さを感じる。(撮影:筆者)
Double Archを後にし、さらにThe Windows Sectionを歩いていく。

North Windowへ向かう。歩みを進めるにつれ、その大きさが少しずつ実感できるようになる。(撮影:筆者)

North Windowの足元へ。岩の窓が、目の前に姿を現す。(撮影:筆者)

North Window。その名の通り、巨大な窓から空を眺めているような気分になる。(撮影:筆者)

North Windowをくぐった先には、広大な荒野の風景が待っている。(撮影:筆者)
The Windows Sectionの魅力は、一つのアーチだけではない。周囲を歩いているだけでも、次々と印象的な風景が現れる。

The Windows Sectionの風景。巨大なアーチや奇岩が並び、自然の博物館を歩いているような感覚になる。(撮影:筆者)

神殿へ続く参道のような風景。自然がつくったとは思えない造形が広がる。(撮影:筆者)
Delicate Arch ― アーチーズ国立公園の象徴
Delicate Arch(デリケートアーチ)は、アーチーズ国立公園を代表するランドマークであり、ユタ州そのものを象徴する風景としても知られている。駐車場からはある程度しっかり歩く必要があるが、多くの人が訪れる人気スポットだ。
写真や映像で何度も見ていたとしても、実際に目の前に現れた瞬間の存在感は別格である。アーチそのものだけでなく、その周囲に広がる空間の雄大さも含めて、この場所ならではの魅力だと思う。

Delicate Archへ向かうトレイル。低山を登るような感覚で、広々とした岩場を歩いていく。(撮影:筆者)

なだらかな岩盤の上を歩いていく。装飾感のない風景だからこそ、どこか別の惑星を旅しているような気分になる。(撮影:筆者)

長い岩場歩きも、いよいよ終盤。写真右側の階段から登っていった先にDelicate Archが待っている。(撮影:筆者)

Delicate Arch直前の細い道。少し高度感はあるが、右の岩壁沿いを歩けば問題なく通過できる。(撮影:筆者)

Delicate Archの周囲には、天然の円形劇場を思わせる岩の広場が広がる。ここで一息つきながら景色を楽しみたい。(撮影:筆者)

Delicate Arch。長い年月が生み出したとはわかっていても、どこか奇跡を見ているような気分になる。(撮影:筆者)
Devils Garden ― 荒野を歩く楽しさを味わえるエリア
Devils Garden(デビルスガーデン)は、公園最奥部に位置するハイキングエリアである。複数のアーチや奇岩が点在しており、歩きながらさまざまな景観を楽しむことができる。
この場所の魅力は、目的地だけではない。赤い岩の間を縫うように続くトレイルを歩いていると、自分が荒野の中へ分け入っていく旅人になったような気分になる。
アーチーズ国立公園のハイキングの楽しさをもっとも強く感じられる場所の一つなので、トレイルを歩んでいるような気持ちで、下の写真を眺めてほしい。

Devils Gardenのトレイル。歩き始めてすぐに、巨大な岩壁に囲まれた風景が現れる。(撮影:筆者)

岩に囲まれた道が続く。次はどんな風景が現れるのか、自然と足が前へ進む。(撮影:筆者)

Landscape Arch。信じられないほど細い岩のアーチが、空中へ優雅な曲線を描いている。(撮影:筆者)

トレイルは岩の上へと続いていく。「ここを登るのか?」と思わず顔がほころぶ、冒険心をくすぐられる区間だ。(撮影:筆者)

振り返ると、自分がとんでもない場所を歩いてきたことに気づく。Devils Gardenのハイキングの面白さを実感する瞬間だ。(撮影:筆者)

岩の尾根のような地形の上を歩いていく。足元の景色だけでなく、遠くまで広がる荒野の眺めも素晴らしい。(撮影:筆者)

岩の尾根から見下ろした風景。アーチの元となるフィン(岩の壁状地形)が幾重にも連なり、アーチーズらしい独特の景観をつくり出している。(撮影:筆者)

Double O Archが遠くに見えてくる。その手前にも岩が複雑に入り組んだエリアが広がり、探検気分を味わいながら歩くことができる。(撮影:筆者)

ようやくDouble O Archの足元に到着。近くで見上げると、その複雑な造形とスケール感に改めて目を奪われる。(撮影:筆者)

穴の向こう側へ回り込むと、Double O Archの全景が姿を現す。これほど大きく、美しい円を描くアーチが自然の力だけで生まれたことに驚かされる。下に見える人々の姿が、その壮大さを際立たせている。(撮影:筆者)
道中にも続く、アーチーズの風景
アーチーズ国立公園の魅力は、有名なアーチや奇岩だけではない。
主要な見どころを巡ったあとで、ふと道中の風景に目を向けると、この公園の濃さが改めて見えてくる。
道路脇に広がる赤い岩、荒れた低木の大地、名前も知らない岩山、遠くに続く乾いた荒野――それらは大きく紹介される名所ではないが、普通のアメリカ西部の風景と比べれば、明らかにどこか異様で、強い個性を放っている。
Delicate ArchやDouble O Archのような主役感はない。けれど、こうした風景にも、アーチーズという土地そのものの空気が静かに宿っているように感じられる。
ここでは、これまで紹介した主要スポット以外で出会った、道中の風景を写真とともに紹介していきたい。

アーチーズ国立公園の園内道路。目的地へ向かう道中も、このような風景が当たり前のように続く。(撮影:筆者)

園内道路から見えた岩の群れ。無数の岩塔と縞模様が重なり合い、どこか抽象画を思わせる風景が広がっていた。(撮影:筆者)

園内道路を進む。道路脇には、切り立った岩塔や岩壁が次々と現れ、まるで西部劇の舞台を走っているような気分になる。(撮影:筆者)

La Sal Mountains Viewpointからの風景。赤い大地と岩山、遠くまで続く空。アーチーズには、こうした荒野そのものの魅力もある。(撮影:筆者)

有名なアーチの陰に隠れがちだが、このような何気ない荒野の風景にも心を惹かれる。赤い岩と低木が織りなす景色は、いかにもアメリカ西部らしい。(撮影:筆者)

岩の表面には、美しい曲線模様が広がっている。アーチだけでなく、こうした岩肌の表情にも目を奪われる。(撮影:筆者)

有名な見どころではないが、こうした岩の造形にも惹かれる。削られ、崩れ、積み重なったような無造作さが、この土地の荒々しさを物語っている。(撮影:筆者)

荒々しい岩山と乾いた低木が続く風景。整いすぎていない地形に、どこかバッドランドを思わせる荒野の表情が感じられた。(撮影:筆者)
ここまで、アーチーズ国立公園の主な見どころと、道中で出会った風景を写真で紹介してきた。アーチーズ国立公園の魅力の一端が写真で伝わっていれば幸いだ。
しかし、最後にどうしても書いておきたい。
アーチーズ国立公園は、僕にとって、写真で見て想像していたよりもはるかに圧倒される場所だった。赤い岩の前に立ち、乾いた空気の中で巨大なアーチや岩壁を見上げていると、自分が別の惑星に迷い込んでしまったような感覚になる。
もしこの風景に少しでも惹かれるものがあるなら、いつかぜひ実際にこの地に立って、身体全体でその空気を浴びてほしい。
実際に巡る前に知っておきたいこと
ここまで風景を中心に紹介してきたが、最後に実際に訪れる際に知っておくと役立つポイントを簡単にまとめておきたい。
なお、本記事では細かな観光情報や最新の制度・ルールには触れていない。そうした情報は変更されることもあるため、旅行を計画する際は、後ほど紹介する『地球の歩き方 アメリカの国立公園』や、アーチーズ国立公園公式サイト(National Park Service) もあわせて確認してほしい。
ここでは、実際に訪れて感じたことを中心に、個人的に重要だと思う点だけを紹介する。
車で巡りやすいアーチーズ国立公園
アーチーズ国立公園は、広大な風景に反して非常に巡りやすい国立公園である。
園内にはわかりやすいメイン道路が通っており、主要な見どころもその道路沿いに点在している。車で移動しながら各ポイントの駐車場に立ち寄り、その周辺を散策したら次のスポットへ向かう――という流れで自然に巡れるようになっている。
車窓から見える風景そのものも見どころの一つなので、移動時間も十分に楽しめるはずだ。

各観光エリアに駐車場がしっかり整備されている(撮影:筆者)

公園入口にある園内マップより。地図の一番下が公園の入口(撮影:筆者)
ハイキングそのものも大きな魅力
アーチーズ国立公園では、多くの見どころを歩いて巡ることになる。
Balanced RockやThe Windows Section周辺は比較的気軽な散策感覚で楽しめるが、Delicate ArchやDevils Gardenでは、ある程度まとまった距離を歩くことになる。
ただし、この公園では目的地に着くまでの時間も非常に楽しい。トレイルの途中にも印象的な岩や広大な風景が続き、次にどんな景色が現れるのか期待しながら歩くことができる。

目的地まで進んでいく道のりにも新鮮な楽しさがある(撮影:筆者)
行き方は旅のルート全体から考える
アーチーズ国立公園はユタ州東部に位置しており、多くの旅行者はアメリカ西部の周遊旅行の一部として訪れることになる。
僕自身も、ソルトレイクシティを起点にユタ州の国立公園を巡った際や、フェニックスからセドナ、グランドキャニオン、モニュメントバレーなどを経由した旅行の途中で訪れたことがある。
アーチーズだけを目的地にするというよりは、自分が訪れたい他の場所との位置関係を考えながら、利用する空港や旅程を決めるのがおすすめだ。
拠点となる町、モアブ(Moab)
アーチーズ国立公園を訪れるなら、多くの人がモアブ(Moab)を拠点にすることになる。
モアブは公園のすぐ近くにある小さな町だが、ホテルやモーテル、レストラン、アウトドア用品店、お土産屋などが集まっており、観光拠点として非常に便利である。
また、近くにあるキャニオンランズ国立公園(Canyonlands National Park)の拠点でもあり、複数の国立公園を巡る際にも使いやすい町だ。

公園内とまるで異なるモアブのおしゃれな街並み(撮影:筆者)
夏の暑さには注意したい
アーチーズ国立公園を訪れる際は、暑さへの備えを忘れないようにしたい。
特に夏場は日差しが非常に強く、場所によっては日陰がほとんどない。帽子や十分な水分を用意し、歩きやすい靴で訪れることをおすすめする。
なかでもDelicate Archへ向かうトレイルは、開けた場所を歩く区間が長いため、暑い時期には特に注意したい。
アーチーズ国立公園の旅に役立つ本
『地球の歩き方 アメリカの国立公園』(地球の歩き方編集室)
本記事では、写真を中心に「ポイントのみ」ご紹介したが、様々な詳細情報を知りたい方は、『地球の歩き方 アメリカの国立公園』がおすすめだ。
アーチーズ国立公園の各種地図、シーズン・気候情報、公園内の施設、いくつものビューポイントの特徴、ハイキング情報、宿泊施設などについて詳しく書かれている。
当然、アメリカ全土の国立公園の情報が網羅されているため、特に、他の国立公園も巡る方にはぜひとも活用していただきたい一冊だ。
👉『地球の歩き方 アメリカの国立公園』(Amazonページ)
『地球の歩き方 アメリカ・ドライブ』(地球の歩き方編集室)
また、アメリカでレンタカーの旅を初めてする方には、『地球の歩き方 アメリカ・ドライブ』という本も紹介しておきたい。アメリカ全土でのドライブ旅のモデルコースや、アメリカ渡航・ドライブに必要な手続きやノウハウ(※)が網羅されている。
※ パスポート、ESTA(電子渡航認証システム)、各種保険(海外旅行保険、レンタカーの保険)、出入国手続き、宿泊、国際免許証、レンタカー、トリプルAのロードサービス、交通ルール、給油方法、チップ、トラブル対処法、旅行英会話・英単語、など
👉『地球の歩き方 アメリカ・ドライブ』(Amazonページ)
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